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ウーパールーパーの感想文

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桐島、部活やめるってよ/朝井リョウ 感想  真の「充実」とは?

自分の青春を赤裸々にされた感覚。

今の自分にも問いかけられる「充実」とは。

  

 

・作品紹介

 

桐島というバレー部キャプテンが部活をやめたことによって、起こる人間の感情の揺れを描いた作品なのですが、桐島はほとんど出てきません。

桐島の周りの人間がメインとなっている物語です。

 

 

 ・感想

 

同じ学校の生徒にの生徒なのに、見えない階級によって、見える景色が違う。

スクールカースト。あの人は違う人。この人は大丈夫。

狭い学校での人間関係。

なんとなく、空気を読んで、カースト上位の人は上位の人と。

そして、下位の人は下位の人と。

ものすごいしょうもないことだなと今となったら思うのですが、空気を肌で感じ取って、人間関係を作っていたなあと思い出されます。

容姿とか性格とかを瞬時に判断して。

 

上位側の人間にはなったことがないのですが、上位の人なりに、自分を押し殺して上手く上位の人間を演じ続けていたのだなあと思わされます。

できるやつにはできるやつなりの悩みがある。

上位側の人間って、他人から輝いて見える充実を背負っていかなければ、上位の人間でいることは難しいんだろうな。

自分の存在意義を他人に託している感じ。

空虚な充実で、心からの充実ってなかなかないんだろう。

本気でやってできなければ、目立つ分、受けるダメージもでかい。

結果、本気でやってできない、認められない自分が怖くなって、空虚な充実で周りからの承認欲求を満たしていく。

満たしていくというよりも、満たしていかざるを得ないポジションなんだろうなと。

なんだか、縛られた存在なんだなって思える。

 

一方の下位側の人間って、上位側の人間がこの上なく輝いて見える。

自分たちはこっそりひそひそと狭いスペースで自分の立場をわきまえなきゃいけない。

狭い学校という世界より大きな世界が外にはあるのに、狭い世界で小さく生きなきゃいけない。

その中で、何をやってもおもしろくて、格好いい上位側の人間って、憎らしくも羨ましい。

自分が何をやったとしても正当に評価されないし、逆に笑われる。

だから、どうやっても満たせない承認欲求を、心の充実で補おうとする。

自分のやりたいことって、他人から見てどんなことであろうと、心から楽しくできる。

僕なんかはゲームオタクだったけど、学校でそのことについて話してる時って、すごい楽しかった。

一般的な社会の価値観から見たら、輝いていない趣味だけど、自分にとってはゲームが輝いて見えてた。

やりたいことを周りを気にせずできる。

上位とは逆に存在意義を自分の中に持っている。

これって上位側の人間にとって、できないことで輝いて見えるのだろう。

今となってはそんな風にも思えてくる。

 

何より虚しいことは、このおかしな世界に気付きながらも気づかないふりを強いられる人間なのでしょうね。

決して何者にもなれていない自分たちが、変な空気を作ってしまってがんじがらめになってしまってる自分。

一体何を信じて生きてけばいいのかわからなくなる。

 

承認欲求の充実か、心の満足度の充実か。

どちらが生きていく上で大切な充実なのだろうか。

人それぞれだとは思うけど、心の充実を僕は大切にしていきたいなと思う。

本や映画や小説の世界に浸っているときが、何よりも楽しいな。

 本当に虚しいのってこんな感情表現を19歳できてしまってる朝井リョウさんなのかもしれないなとも思いました。

 

上手く、スクールカーストを使って両者のやるせない気持ち、見え方を表現できていて、見応えがありました。

朝井リョウさんの繊細な表現力は本当に素晴らしい。

懐かしくも新鮮な自分への問いかけを感じる一冊でした。

 

 

・名言

 

飛び出す、という言葉を僕達は体現できる。十七歳のこの瞬間だけ。

 

これからなんでも手に入れられる可能性のあるてのひらがあるってだけで、今は空っぽなんだ。

 

だけど信じていれば光が射す、だいたいそういうことを主張して曲は終わるけれど、一体何を信じていればいいのだろう。

 

 

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

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