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ウーパールーパーの感想文

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少女は卒業しない 朝井リョウ 卒業って小さなピリオド 感想

卒業と自分の新しい一歩

別々の道を歩き始める切なさ

 

 

あらすじ(Amazonより引用) 

 

 高校最後の卒業式、7つのさよならの物語。 校舎取り壊しが決まっている高校、最後の卒業式の一日。少女7人が迎えるそれぞれの別れを、瑞々しく描く連作短編集。

 

 

感想

 

タイトルとは反対の何かから卒業しようと決める女子高生たち。

決して、何か卒業しきれていない少女たちに、甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれる素敵な作品だ。

 

「卒業」というと何を思うか。

一つは一つの終わり。

もう一つは新しい始まりを思う。

 

終わりって一体なんだろう?

卒業なんて小さなピリオドの一つに過ぎない。

ただこの本にはには自分自身の気持ちのピリオドをつけようと奮闘する、「等身大の彼女」が描かれている。

 

教師に対する恋心。

教師は少女の淡い恋心に気付きながらも、決して冷たくも優しくもしない。

教師という立場、生徒という立場を理解し、教師は何も聞かない優しさとも冷たいとも思える態度を取り続ける。

お互いの辛さを生徒は理解しながらも、必死に気持ちを伝える姿に心が打たれる。

 

他に好きな人がいることを知りながらも、卒業式の在校生代表の言葉で伝える生徒も出てくる。

純粋な片思いをみんなの前で、本人に伝えられる強さって美しい。

 

両思いながらも、別の道を進んでいく決意を固めた少女もいる。

お互い愛し合いながらも、お互いを尊重して別れを選ぶ。

切なさに胸が痛くなる。

 

卒業ライブで、好きな人の本当に素敵な部分をみんなに見せようとする少女もまた、勇気があり、好きな人に対しての愛情を感じる。

 

 

恋だけではない。友情についてもしっかり描かれている。

 

学校という狭い世界から飛び出していく生徒に対する、言葉にならない思いも胸に突き刺さってくる。

応援する気持ち、寂しい気持ち、虚しい気持ち。

この全てが同時に襲い掛かってくる。

ただ、別々の道を歩んでいくしかない人生に本当に辛い。

 

「死」という別れを受け入れられない生徒もいる。

現実を受け入れきれない未熟さを受け入れながらも、前に少しでも進もうともがく生徒。

大切な人は常に、自分の前から消えて行ってしまう。

それでも前に進むしかない。

時間がたつという無常さ。

時間って残酷だ。

 

ただ彼女たちはみんなずるい。

クールになりきれない若さが「卒業」を邪魔する。

ちょっとした希望を抱きながらも「別れ」を選ぶ。

相手にとっても、クールになりきれない彼女らに憎しみに近い葛藤を抱かせるだろう。

 

この作品では新しい未来については、一切描かれていない

少女たちは本当に、いろんなものから「卒業」できたのか?

さまざまなことを想像させてくれる朝井リョウさん。

心地のいい余韻を残してくれる素晴らしい一冊だ。

 

 

名言

 

好きでした。過去形にして無理やりせるふを終わらせればやっとエンドロールが始まってくれる。

 

恋心とか片思いとか、そういう甘い思いじゃない。もっともっと辛くて、苦しくて、憧れて、憎くて、焦って、もう二度と味わいたくない思いを、私は尚輝に対して何度も感じてきた。

 

高校の校舎に似合うものはいつだって、とってもかっこわるいものなのだ。

 

 

少女は卒業しない (集英社文庫)

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