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ウーパールーパーの感想文

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卵かけご飯が壊した朝

ネタ

食パンとコーヒーに始まる一日。

そんな日常を壊したもの。

卵かけご飯。

金色に光る卵と、雪景色のように綺麗な白米。

この究極かつ完璧なコラボレーション。

僕は震え、思わず言った。

「マザー。テンキューヴェリーマッチ。」

母は青ざめて、怯えるように言った。

「アイムソーリー。」

父は小さな声で

「ヒゲソーリー。」

「・・・」

 

 

時が止まったような静けさに、TVショーだけが朝を演出し続ける。

穏やかな朝と対立するかのような張り詰めた緊張感。

この空気を打開する方法を必死に考える。

フォローを入れるべきか、さらっと流すべきか。

この間が開いた今、さらっと流すなんてことができるのか、いやできない。

そして、僕にはもう一つ気がかりなことがある。

母が「アイムソーリー」とつぶやくように言った言葉だ。

その真意がつかめない今、僕はどう動けばいいものか。

TVショーは天気予報を明るく、丁寧に伝えてくれる。

たった数分が悠久の時を感じさせる。

 

「ヒゲジョリジョリー。」

 

僕の精いっぱいのボケかぶせ。

このずっしりと空気を破壊するため、とっさに思いついた一言だった。

僕がピエロになって穏やかな朝になればそれでいい。

こんなプライドいくらでも捨ててやる。

「・・・。」

「・・・。」

真っ赤になった。

あの時の僕の顔は夕日より綺麗だったはずだ。

コーヒーはすすって平静を保つ僕は何よりも滑稽な男であっただろう。

 

そっと席を立ち、

「歯を磨いて、ヒゲジョリジョリーしてくる。」

そうつぶやき足を進める。

その足取りは、鎖をはめられた囚人のように重く、一歩一歩が苦しかった。

 

歯を磨き、ヒゲジョリジョリーした僕は、両親の顔色を伺おうと、食卓へ戻る。

セリヌンティウスを助けるために走るメロスのように。

たどり着いた瞬間、愕然とした。

 

「あの子、いつ家から出て行ってくれるのかしらね。」

先ほどの自分を曲げてまで、空気を戻そうとした息子に対して、母は言った。

そっとうなずく父。

父、都合がよすぎる。

 

そっとその場を離れ、職場へ向かう準備をし、家を出る。

母の「アイムソーリー」の真意はわからぬまま、卵かけご飯が日常を崩した。

皆さんも卵かけご飯には気を付けましょう。

 

 

axolotl1990.hatenablog.com

 

 

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